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嘉徳で藍染め体験

<6月24日土曜日 曇りがちな晴れ>
■黄色いトラックがゆく
奄美滞在も6日目となったこの日の午後、「アイゾメ」といえば「愛染恭子」という瀬戸の灘と私は、ふいに思い立って藍染め体験をしに行くことにしました。「これから行きたいんですが」という突然の電話に「よしかわ工房」の方は少し戸惑いながらも快諾してくださいました。ここ奄美で昔ながらの藍染めができるのは嘉徳(かとく)にある、その「よしかわ工房」だけなのです。

嘉徳の集落は瀬戸内町にありますが、太平洋側に面しており、<山に囲まれた海>があるという珍しい地形なのだとか。そしてなんといってもあの元ちとせの出身地としても有名です。よしかわ工房には2時半に行くという約束をしていたのですが、ホテルを出たのが2時半…。私たちもどうやら奄美人になってきたようです(^^;

しかし。この日なんとか借りることができた車が、まぶしいくらいに黄色いキッチン付きのミニトラック。よく移動販売をするときに使うやつです。かなり怪しいです。しかも椅子は運転席のみ!私はキッチンに立ち、カーブの度に転がりそうになりながら必死で踏ん張っていたのでした。嘉徳への道は3本あるのですが、そのうち2本は梅雨の大雨で土砂崩れを起こし通行止め。残る1本の迂回路は道幅の狭い林道で、対向車が来たらすれ違いが困難というくねくねの細〜い道。しかも車はトラック…さすがに不安を覚えながら林道へ入りました。そして。まんまと正面から全く同じタイプのクロネコヤマトのトラックが!一瞬焦りましたが、ドライバーの神業(?)でなんとかすれ違いができ、ようやく林道を抜けたときはホッとしました。しばらく下り坂を下りていくと、眼下に小さな集落が見えてきました。嘉徳です。



■藍染め体験
なんだかんだでホテルを出発して1時間は要してしまいましたが、無事によしかわ工房に到着。入り口にご主人が座って暑さをしのいでおられました。奥様が私たちを藍染め作品が展示してあるお部屋へ案内してくださいました。そこには、深くて濃い藍の染め物がたくさん飾ってありました。様々な模様に染め上げられたブラウス、Tシャツ、スカーフ、のれんなど、どれも素敵です。私たちは綿のストールを染めることにしました。
ai.JPG奄美では遠い昔は藍染めを行っていたのですが、いつしか泥染めが主流になり、藍染めは途絶えてしまったそうです。このよしかわ工房のご主人は、20年ほど前、5年の歳月をかけて試行錯誤を繰り返し、100%天然の藍染めを復元されました。その間のご苦労はここで書くまでもないでしょう。
藍というのは植物で、直射日光では育たないので、吉川さんが山で育てているそうです。庭にあったのを見せていただいたのですが、一見そのへんの草と見分けがつかない感じの葉っぱ。その藍の葉を水に入れて発酵させたものが染料となります。科学薬品などは一切混ぜていないため、その濃く深い藍の色が出るのだそうです。けれど、藍を発酵させるにも気温や湿度など微妙な違いでうまくいかなかったりするので、研究は大変だったそうです。また綿やシルクなどの100%天然素材でなければうまく染まらないといいます。そして一回染めたものは色落ちもしないし、お肌にも優しく、汗の匂いや菌の繁殖も防ぐのだそうです。吉川さんの藍染めの技術は、全国の専門家などからも注目されているそうです。このような100%天然の藍染めというのは、今では大変珍しく貴重なんですね。手作業で量産できないからこそ、その一枚一枚に確かな技術と心が込められていて、価値があるのですね。



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藍染めの行程としては、
1、素材と入れたい模様を決め、模様が入る箇所を紐で結んでいきます。
2、水で素材を濡らし、脱水。
3、ドラム缶に張ってある藍の中にそっと浸けます。
4、2〜3分ほどしたら取り出し藍を絞って広げ、少し乾かします。
5、3、4を5回繰り返します。
6、紐を解いて広げ乾かします。
7、水でよくすすぎ、脱水。
8、外に干して出来上がりです!
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本当にきれいな藍色が鮮やかに染まりました!模様もきれいに入っていますね。これが本物の藍染め!世界にたった一枚の作品です。さらに自分たちでハンカチを一枚ずつ染めました!作品には性格が表れるのか、私のは控えめな中にも芯の強い美しさがありますねえ〜(笑)
途中、奥様にお茶やお菓子、漬け物などを振る舞っていただきました。特に豚肉を地味噌で炒めた「豚味噌」は最高に美味しかったです。なんと白米のおにぎりも出してくださり、これが豚味噌とピッタリ!!ぺろりと平らげてしまいました。


■嘉徳
ひととおり体験を終えた私たちは、嘉徳の集落を散歩してみることにしました。もう6時半をまわっており、外はだんだん夕暮れてきています。集落は細い道の両側に古い家や新しい家が並び、お花の生け垣が目立ちます。そして、ドーンという地響きに似た波の音が、繰り返し一帯に響き渡り、家のすぐ向こうはもう海なのだと分かります。誘われるように浜へ抜けると、そこにはもう一つの奄美の表情がありました。これまで目にしていたマリンブルーの穏やかな海ではなく、迫り出した山に囲まれた荒々しい海。地響きのように鳴る波の音。どこか寂しく厳しい浜辺の光景に、私は息をのみました。砂浜は急斜面で、砂粒も少し粗い感じ。そして浜と集落との間には、アダンがびっしりと生い茂り、昔ながらの防風林としての役目を果たしています。katoku_kuruma.JPG山からはリュウキュウアカショウビンの歌うような鳴き声が聞こえて、なんとも心に染みる情景でした。奄美の島唄は、きっとこんな場所で唄われてきたものなのではないでしょうか。浜には漂着物も多く散乱しており、中には韓国から流れ着いた洗剤の容器まで転がっていました。
夕暮れも迫ってきたので、7時過ぎには嘉徳を後にしました。途中、道の真ん中で怪我をした蛇を見つけました。ハブにしては頭が小さく、私たちには判別がつきませんでしたが…。ともあれ黄色いトラックは無事ホテルに到着。なかなか貴重な体験をした一日となりました。


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